実際にシステム監査を行ってみると、システム監査に関する用語についてシステム監査人それぞれの解釈に大きな隔たりがあることに気づくことがある。
また,システム監査に関する論文を読んだり、システム監査をテーマに議論したりする際にも、システム監査用語に対する解釈が各人各様なため,不毛な議論をしている人達をよく見かける。
前者の例は、「監査テーマ」とは「監査目標」のことなのか「監査要点」のことなのか、「予備調査」と「本調査」の違いは何なのか、「監査対象」と「監査範囲」との違いは、「監査証拠」と「監査証跡」の違いは、などなどである。
後者の代表例は、「監査基準」と「監査規準」である。「もと基準」と「のり規準」を混同することで意味のない議論にどれほど無駄な時間を費やしていることか!
こうした不毛な議論を避けるため、用語の違いを明快に説明しようと試みたのがこの「システム監査用語集」である。システム監査を実施する前に、システム監査チームのメンバー間で曖昧な用語をどの意味で使うのかを決める場面で活用してほしい。システム監査人達の議論が実り豊かになるために役立ってくれれば本望である。
藤野正純